水:人間の寿命ってね、もともと50年で終わりなんですよ。50歳を過ぎたらそれ以降は神様にもらった余命みたいなものだから、思い切り自分の好きな仕事をすればいい。50歳までは人間修業の身で仕事をしてきたわけで。僕だって、50歳を過ぎてから仕事の仕方がコロっと変わっている。
編集長H:そうですか。水野さん50歳を過ぎてから変わられましたか。具体的にはどのように変わったのですか。
水:50歳を過ぎると、自分の決断で仕事をするようになる。何かが吹っ切れるんだね。50歳前というのは、会社のしがらみ、社会のしがらみ、やっぱり役職を含めて様々なしがらみの中で修業をしている身だから。50歳を過ぎたら、今度はその修業したものを発揮する場になるんです。自分の色でものをつくりだそうと思い始める。向いている方向が変わって来るんです。
編集長H:ああ、なんだかすごく今の自分の気持ちにぴったり来ます。
水:Hさんだってそうでしょう。 会社から編集長という肩書きをもらって、40代の頃って、やっぱり会社の方針とか会社の顔を見ながら仕事をしたでしょう。例えば普通の会社でいったら、40代で課長さんか、もしくは次長さんクラス。だいたい50代になると部長さんのクラス。部長で自分の“砦”を持つようになる。するとそこを自分の“色”で守るようになるわけよ。 でもすべての砦が同じ色だったら、敵から簡単に攻められちゃう。1カ所落とせば、残りの砦も同じ事だから簡単に落とされちゃう。砦の“色”がそれぞれ異なると敵は攻めにくいんです。だから大事なのは人の色も認めること。自分の色と、人の色が違ってもそれは当たり前で、他人の色があることも認めないといけない。